辛いこと

Open App

ー雷様ー(平穏な日常)

きっと、誰かにとって幸せな今日。
きっと、誰かにとって当たり前の日常。


子供が足を止めた。
鳥がさえずっている。

「お父さん!歌ってる!」

興奮した様子で、高く声をあげた。

「うんうん、歌ってるね」

お父さんは鳥を見て頷いた。
子供は点滅する信号機を指差した。

「お父さん。壊れちゃってる」
「うんうん。働きすぎたんだよ」

お父さんは信号機を見て頷いた。
子供は赤い車を指差した。

「お父さん!あの車怒ってる!」
「うんうん。道路がガタガタで痛いんじゃないか?」

お父さんは車を見て頷いた。

「さっ、そろそろ帰ろうか」

お父さんは子供を連れて、家に帰る。
途中、雨が降ってきた。

「お父さん!空の唾液!」
「唾液?」

お父さんは空を見上げた。
目に入ってきそうで、すぐ下を向いて、子供を抱えた。

「飛行機!」

子供ははしゃぐ。
お父さんは、腰が痛くなった。

家に帰って体を拭く。
そのまま二人でお風呂に入った。
外は大雨になっていた。
遠くで、雷がなっている。

「雷がなったら、へそを隠さないと」

お父さんが、冗談めかしてそう言った。
子供は素直に手を当ててから、どうして?と聞く。

「雷様に、へそを食べられちゃうから」
「ええっ!?大変!お父さんも隠さないと!」
「お父さんはいいの」
「雷様だから?」
「ええっ、違うよ!大人は平気。子供のは、美味しくて食べられちゃう」
「変な味覚」

ガラガラドッシャーン!

雷が、随分近くで落ちたらしかった。

「大きい音。大丈夫?」

お父さんは子供を心配する。
子供は言った。

「きっと僕のおへそを食べに来たんだ!!お父さん守って!」
「はいはい」

二人はギュッと固まる。
ふと子供が言った。

「雷様も、お腹空いてるのかも」

お父さんは窓へ目をやった。
それから、

「雷は、お腹の音かもね」

と、笑った。
子供は一度、へそに視線を向けた。

―――――――――――――――――――
眠い!
おやすみなさい。21:25

3/11/2026, 12:25:36 PM