お題:I LOVE…
「……は、異性意……の発達の段階として……性的嫌悪→同性愛的……子犬のような恋→恋愛と発展……」
夏場の教室。
蝉の音は一切聞こえず、エアコンの動くゴウンゴウンという音だけが響いている。
そんな中僕は船を漕いでいた。
一瞬意識が飛んでは授業の話に戻る。
ので、ろくに授業が頭に入らなかった。
原因は深夜にやっていたゲームのせいだ。
やめようと思った時にはいいところまで来てしまっていて、クリアまでやめられなくなってしまったのだ。
気づいたら朝の4時だった。
それでも授業に出れたんだから及第点は欲しいところ。
今日の授業では恋愛に関する話をしていそうだった。
恋愛への発展がどうとか。
恋愛。
僕には恋愛関係にある女性がいる。
付き合って1年と少しと言ったところだ。
「子犬がじゃれあうような……で、不安定……恋愛の段階まで発達させなければ……」
んんん……?
眠い頭で先ほどの言葉を反芻する。
つまり恋愛の段階として子犬がじゃれあうような段階があって、そこから結婚を見据えた恋愛みたいなものに行くってこと?
子犬がじゃれあうような段階。
僕たちはその段階を通過したのだろうか。
まだその段階なのだろうか。
恋愛への発達ってなんだろうか。
頭はどんどんぼーっとしていき、考えがまとまらない。
そもそも恋愛ってなんだろう。
愛するってどんな感じなんだろう。
僕は彼女を愛しているかと問われても、多分首を縦には振れないだろう。
彼女に恋をしているかも、自分にはわからない。
でも……
彼女に好意を持っていることは、真実であってほしいと願っている。
それがどんな種類のものであろうとも。
……夢を見た。
高校生の時。
彼女に初めて会った時。
笑い合った後、緊張しながら君は言ったんだ。
「私、あなたと同じ大学に行きたい。
……もし、もし同じ大学に行けたのなら。
私と、付き合ってくれませんか。」
1/29/2023, 12:26:36 PM