ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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眠りにつく前に

最後にゆったりと眠りについたのはまだ母も弟も生きていたころだった。あのころ人間はまだまだたくさんいて、むしろ多すぎるので問題だと言われていた。たぶん、私が15歳位のことだったか。あれから人間はどっと減った。震災で減り疫病で減り最終的に人間を減らしまくったのは人間同士の戦争であった。もうゆったりと深く眠れる人間はあまりいないだろうと思いながら、私は睡眠薬を飲む。今夜私は深く眠りたいのだ。部屋の鍵は万全だからそんなに恐ろしいことは起こるまい。私は私が幼かった頃の、あの、なんにも怖いことはない心休まる家をちょっと思い出したいのだ。おやすみ。

11/2/2024, 11:59:21 AM