紺色

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「じゃあ行ってくるから。何かあったら連絡して」

言ったのはお母さん。

思い出したように立ち止まり、玄関のドアを薄く開け早口でそう言う。

「大丈夫」

「いつもごめんね」

そう、これはいつものことだ。

弟のため。

仕方が無い。

僕の弟は生まれつき身体が悪く、入退院を繰り返している。

『お兄ちゃん!』

弟の顔を思い出す。

あの笑顔のためならこんな事へっちゃらだ。

自分の部屋に戻ってカバンを漁る。

宿題が残っているのを思い出したから。

「何だかなぁ…」

宿題は僕の苦手な漢字。

学校でやるぶんには出来るのに、家に帰ると途端にやる気が無くなる。

今は六時。

ちらっと時計を確認した。

寝る時間はだいたい九時半。

ご飯食べるのが六時半。

宿題は六時から六時半までで終わらせる。

あとは自由時間。

メディアの時間は決まっていないけど僕は良い子だからちゃんと一時間半って決めている。

ぐうぅ。

突然腹が鳴った。

したからはご飯のいい匂い。

……今日は先にごはん食べよう。


まだ温かいご飯と肉を交互に食べる。

ふと、飾ってある写真に目がいった。

お母さんとお父さんと僕と弟が笑っている写真。

会いたいな。

最近はずっと入院していて会っていない。

お母さん、前は僕が「会いたい」って言えば笑って「良いよ」って言ってくれてたのに。

最近は「駄目」って言うか少し悲しい顔して「ごめんね」って言う。

謝るくらいなら連れて行ってくれれば良いのに。

……そんなに深刻なのかな。

大丈夫かな。

会いたいな。


「お母さん、これ」

昨日、学校の準備をしていたら出てきた授業参観のお便り。

次の週の金曜日だ。

「あぁ、じゃあお母さんが行こっか」

「え」

思わず声が出た。

前だったら申し訳なさそうに「お父さんに頼んでおく」って言ったのに。

「何で?」

どうして?

「何でって…何が?」

「だって前は、はるとがいるからって」

はるとは弟の名前。

「…もう良いかな。あのね、はるとは」

「おい!」

お母さんの声はお父さんの大声にかき消された。

お母さん達が別の部屋に行ってしまう。

僕はそれを追いかけることにした。

「言わないって話し合ったじゃないか。言うにしてももうちょっと大きくなってからだ」

「でも、それじゃあ…」

「茂(しげ)は、はるとが好きだったんだ」

茂は僕の名前。

「あんなに仲が良かったのにはるとが___と分かれば茂はどうなると思う。よく考えろ」

はるとの話?

はるとが、し…ん。

「嘘だ!お父さんの嘘つき!だいっきらい!!」

「茂?聞いてたの?」

戸惑うお母さんの声。

僕は真っ直ぐ自分の部屋に戻った。


「やっぱり茂にはこんな残酷な嘘つかなくてよかった」

「逆だろ?きっと茂も分かっていたんじゃないか?子供だって馬鹿じゃない。心の準備をさせる為にもこの嘘は必要だった」

「……これが、やさしい嘘とでも?」

「あぁ」

「……」

「あいつの事はお前より知ってる。お前ははるとに付きっきりだったからな。お前は何も分かってない。これが一番“やさしい嘘”だ」



                              やさしい嘘

読んでくれてありがとうございました。

終わりが難しい。

(雑談)

今日、恋愛の話します。(友達の)

なんか友達に好きな人ができたらしいんですよ。

もうその友達の好きな人(以下A)には好きな事がばれてるんですが。(好きバレしてる)

その友達というのがなんだかだいぶ暗くて可愛いんですけど目立たないタイプで。

友達は「両思いかも」っていってるんですけど、多分無いんですよね。

好きバレしたときもAは「あー、そうなんだ」みたいな感じだったし。

ただ、言いづらくて。

「両思いじゃないと思う」って言っちゃうと絶対嫌われるし。

言う必要はないんですが、正直可哀想だなって。

そもそもAって他に好きな人がいるんですよね。

説明下手ですみません。

因みに、私の好きな人、どうやら他校に好きな人がいるらしく。

その人の事を意気揚々と語るもんですから正直悲しい。

1/24/2025, 12:23:20 PM