詠み人知らずさん

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夜明け前、私はため息をつく
「また朝が来たのか」
寝たらすぐに朝が来る
毎日、毎日寝るのが怖かった。
朝襲いかかる両親の声、ボロボロに切り刻まれた上履き
男女の笑い声、水渋きのおと
ヒステリックに叫ぶ教師の声
毎回「志望校は?」と聞いてくるお節介な人
毎日飽きずに私を見下し笑い続けるクラスメイトたち
だから私は、自分自身を守るために不登校になった。
守れるのは自分しかいないんだって

だけど朝、父がこういった
「夜間高校に行かないか」って

あぁ、私の唯一の場所が奪われる

私は、優雅に揺れるカーテンと共に空へと飛び出した。激しい痛みと共に幸福感であふれでていった。

もうなにもしなくていい、見えない未来を見なくていい、いたずらを受けなくていい、もう可能性を見いださなくていい。

彼女の体からしみ出た真っ赤に染まった紅血は彼女を優しく取り囲むように延々んと広がっていった。



9/13/2023, 4:58:00 PM