かたいなか

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樹木や草花の名前をビジネスネームに使っている厨二ふぁんたじー組織の構成員のキンモクセイが、
鳥や動物の名前をビジネスネームに使っている厨二ふぁんたじー組織、世界線管理局に、
潜入して、見つかって、捕まってしまうおはなし。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界多様性機構」という厨二組織がありまして、
機構は世界線管理局がとっても大嫌い!
というのも管理局は機構の活動を、酷く、ことごとく、毎度毎度監視しては邪魔に来るのです。

機構の活動内容は、
困っている世界に手を差し伸べること、
滅亡間近の世界の人を別世界に密航させること、
貧しい世界に先進世界の技術を違法伝授すること、
そして、低い文明レベルの世界を勝手に開拓して、
滅亡世界の住民が安心して不法滞在できる、避難シェルターにすること。

要するに機構は違法な活動をしておるのです。
だけど機構の活動のおかげで、本来の運命より長く生きられる者も居るのです。

それを取り締まり、邪魔してくる世界線管理局が、
世界多様性機構はただただ、大嫌いなのです。

で、そんな世界多様性機構の構成員には、
不思議な香水の香りと精油そのものを使って行使される、香水魔術の使い手がおりまして、
この香水魔術の使い手こそ、キンモクセイ。
今回のお題回収役だったのでした。

『ゆけ、キンモクセイ!
憎い管理局に捕まった同胞たちを救出するのだ』

前回投稿分のおはなしで、キンモクセイの仲間が、
管理局内の標本庫に捕まった機構職員を救出しようと潜入して、最終的に見つかって捕まりまして。
キンモクセイは彼等をまとめて救出すべく、
機構の3番くらいに偉い人から指示を受けました。

『はっ! おまかせください。
私の香りに生身で抵抗できる者は居ません。
かならずや、同胞たちを忌々しい管理局から、救い出してご覧にいれましょう』

ふわり、ふわり。
不思議な香水の魔法をまとって、
秘密の香水の香りを散らして、
キンモクセイが管理局に潜ります。

ふわり、ふわり。
不思議な香水の魔法で一般局員を眠らせて、
秘密の香水の香りで一般局員を痺れさせて、
キンモクセイが標本庫に向かいます。

「ふふふ。とるに足らない」
やがて機構の構成員・キンモクセイは、機構の同胞が複数人捕まっているという、
様々な世界から集めた財宝的兵器、兵器的財宝の個人用収蔵空間、標本庫に辿り着きました。
「誰も、何人も、私の香りの前には無力なのだ」

ふわり、ふわり。ふわり、ふわり。
キンモクセイが散らす、不思議な魔法の香水の魔法に、生身で抵抗できる人間は居ません。
余裕で標本庫の奥の奥、機構の同胞が捕まっているという下層の下層に辿り着き、
標本庫の主、管理局員のヒバリに遭遇しました。

ところでこのヒバリ、生身の人間ではなく、
香水魔術の香りがあんまり効かないとされる
機械の鼻に機械の身体、つまり機械生命体でして。
しかも、あらゆる美しい武器、強力な武器、財宝的武器を集めて飾るヘンタイでして。

要するにキンモクセイ、標本庫の主たるヒバリと、ドチャクソに相性が悪いのでした。

「ほほぅ。兵器としての香水ですか。美しい」
ハァハァ、ハァハァ!
キンモクセイの香りをものともせず、機械生命体のヒバリ、ガンギマリした目で言いました。
「美しい武器は私の収集対象。
魔法の香水を、私のコレクションに加えましょう」
ハァハァ、ハァハァ!ふおぉぉぉ!
キンモクセイの絶望を気にも留めず、機械生命体のヒバリ、ヘンタイ的咆哮を鳴らして言いました。

結果——……

…——「あーのーさぁ。あーーのーーさぁぁぁ」
香水をヒバリに取り上げられて、キンモクセイは他の犠牲者と同じ区画へ、ぽいちょ。
キンモクセイもまた、他の機構の人と同じく、管理局の標本庫に捕縛されてしまったのでした。
「これで何人目だよ。あーもう。ああーもう」
「面目次第も無い……」

世界多様性機構の構成員・キンモクセイは、ただただ、しょんぼりしておったとさ。

11/5/2025, 9:06:11 AM