sairo

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深々と雪が降り積もる。
大地が白く染まっていく。何もかもすべて、覆い隠していく。
厚い雲に覆われた空を見上げ、白い大地を見下ろす。
微かな吐息もまた、白く染まっていた。

「寒い……」

ふるり、と肩を震わせる。
このままここにいても意味はない。どれだけ待っていても白以外の色は見えず、況してや待ち人の影すら見えない。
もう一度息を吐く。踵を返し、降り積もる白に跡をつけながら歩いていく。
きっとその跡も、すぐに白に覆われてしまうのだろう。
ずっと待っていたのだと、募る思いすら雪は消してしまうのだ。

12/23/2025, 6:24:31 AM