曖昧よもぎ

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バカみたい、と言うか、実際私はバカである。
勉強が出来ぬ訳では無い。私はそういうバカが羨ましかった。何かを以て相殺、或いは隠蔽できるからだ。例えば勉強が出来ずとも、顔が良い、若しくは運動が得意である、などの特性を持っていればなんら問題は無い(多少は問題かもしれぬが)。それに大抵の場合、努力をすれば学力は上がるだろう。
ところが、私のような類のバカはそうはいかない。何と言おうか、生活に必要な知能、生きる才能とやらが私には欠如しているらしかった。学ぶ為の参考書などは用意されていない。私は人間としてこの世に生まれたとき、大切なものを只管に置いていったから欠落しているのだろうか。取っておかねばならぬものをかなぐり捨てるとは、やはりバカと呼ぶに値する。全くどうしてこんな風に……!
善悪の判断はつかぬ。私は主観的なものを嫌悪した。それこそ主観であるし、私の身体は私以外の身体にはならぬ。脳も、取り換えがきかぬ。
我思う、故に我あり。私は知を愛した。品を持たぬ者を軽蔑した。書物を踏み台にして、人がものを見る風刺画を思うと、私は一番上を見つめているだろうか。自惚れやもしれぬ。私には見当つかない事物が大勢あって、結局私は私に用意された唯一の世界で生きなければならぬ。
私は羽ばたく鳥を見た。飛ぶだろうと思った。しかし鳥は飛ばなかった。知らぬものは知らぬ。分からぬものは分からぬ。理解及ばぬものは理解及ばぬ。ただ目の前の事象を受け入れている。

3/22/2026, 1:44:39 PM