「手のひらの贈り物」
夢を見た。子供の頃の夢。ちっちゃな私がお母さんに何かを渡してるシーン。何を渡してたのかは忘れてしまった。というよりもそんなことがあったってことすら夢を見るまで忘れていたくらいだ。
小さな私の小さな手のひらに収まるような小さな贈り物を受け取った母がどんな顔をしていたのか覚えていない。もしかしたらそもそも見ていないのかも知れない。恥ずかしがって俯いていたのか、あるいは母に抱きついたりしていたのかも。
そんなことを思い出したのは多分、年末の大掃除の最中に子供の頃に作った工作とか夏休みの宿題で書かされた絵とかが全部丁寧に保存されているのを見つけたせいだ。宿題を早く済ませるって点でだけ真面目だった私がやっつけで完成させた適当な作品が十年以上も残されているのが恥ずかしくって捨ててしまいたい。こんな、心の一欠片もこもっていない、やらされただけのガラクタだ。そんなものすら親にとっては宝物なのかも知れない、なんて気づいてしまって、きっと照れくさいってこういう感情をいう。
私はもう覚えていない、あの日の手のひらの贈り物も、きっとこの家のどこかに大切に仕舞われているんだろう。なんだか無性に親孝行がしたくなった。贈り物をしよう。誕生日も母の日も待たなくって良い。何かの理由がなくても、母は今でも私からの贈り物を大切にしてくれるはずだから。
12/19/2025, 3:05:54 PM