堕落吐き

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私は屋上で歌を歌う。
この歌声を、遠くまで響かせるために。
次の日は山で歌う。
その次の日は、海で。
また次の日は、橋で。
人の目など、些細なものだ。誰がなんと言おうと私は遠くへ歌を歌う。
今日は広葉樹の公園で、私は歌い続けた。
どこへ行くのかは分からない。
ただひたすらに、風が運ぶ事を祈って歌う。
生きているのかも分からない、あなたに届くように歌う。
ふと、私の目の前を青い葉が過ぎった。
それは気がつけばもう、手の届かないところへ飛んでいってしまった。
あの葉のように風よ、私の歌をあなたのもとへ。

『風に乗って』

4/29/2023, 12:54:08 PM