ミミッキュ

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"真夜中"

「みゃあ」
「なんだ?」
「みゃあー」
「『構え』ってか。はいはい」
 明日の準備をする手を止め、ハナを抱き上げて頭や顎を撫でる。
 就寝準備が済んでいくと鳴き声が多くなり、俺がハナを見ると長く鳴く。午前零時の数分前から、まるで『寝たくない!』とごねる子どものような感じで何度も俺を呼んで、何度も構ってアピールをする。
 煩わしく思うが、平日の日中や土曜午前は居室に箱詰めにしている為こういう、自由に中を徘徊できる時間に少しでも多く構ってあげたくなる。
 それに俺としてもハナに構っていると癒されるから、win-winだ。
「みゃああああああ」
 撫でていると、時々クラッキングしながら鳴く事がある。
 最初は混乱したが『喉鳴ってるし嫌がっている訳ではなさそう』となり、以来深く気にする事は止めている。
「本当になんなんだ?その鳴き方」
 クス、と笑いながら言葉を零す。
 実はこの鳴き声を聞くのが癖になっていたりする。
「はい、終わり」
 そう言ってハナを下ろすと名残惜しそうに「みゃあ」と鳴いた。
「後でまた構ってやるから」
 そう言って背を向けて、明日の準備を再開した。
──猫じゃらしで遊ぶ時間増やすか……。

5/17/2024, 12:10:08 PM