手紙の行方
手紙の行方といえば、こんな話があります。
私が11の頃だったでしょうか、小学校のクラスでは文通が流行っておりました。ええ、便箋に文章を書いて、派手派手しくも可愛らしい封筒に入れ、切手を貼って送るんです。ああいや、封筒のデザインは人によってまちまちで、ええ。今じゃクラスメイトの住所なんて知らない人のが多いでしょうが、昔はそうじゃなかったんですよ。
まあ小学生が書くものですから、そう大した内容じゃあありません。漫画の展開、昨夜のおかず、遊びの予定……好きな子の話を書いてた人もいたんでしょうか、私はお目にかかれませんでしたが。
さて、私は一問クイズを書いて送っておりました。解けたら答えを手紙として受け取れるでしょう?これがクラスの友達に随分と人気でして、私も欲しいと言ってくれる人が結構いたんですよ。子供は分かりませんね。私はというと、切手代が嵩んで大変でしたよ、親には迷惑かけたなあ。そんな手紙を毎週送ってましたから。
でまあ、そんなある日、些細なことで友人と喧嘩したんですよ。理由なんか覚えちゃいません、そんなもんです。こんな時便利なのは手紙ですね。私は喧嘩したその日に謝罪の言葉を手紙に書いて送りました。
でね、彼から手紙が来たんです。私とおんなじ謝罪の文が書かれててね。だから次の日に学校で彼と話したんです。そしたらなんて言われたと思います?
「お前の手紙にはいつものクイズしか書いていなかった」って。
私の送り間違い?いや、あの時ばかりは宛名をしっかり確認していた。彼が意地を張っているのかななんてその時は考えてました。
事態が変わったのはその次の週でした。いくらなんでもお金を使い過ぎだって親に怒られましてね、その週は手紙を出せなかったんですよ。でもね、届いたんです、返事が。
手紙の内容はみんな同じ単語。当たり前ですよね、クイズの答えなんだから。でも、どんなクイズなら、あんな言葉が答えになるんだろう。「よこせ」って。
後でクラスの子に聞いてみると、その週の私の手紙の答えは「いちご」だったみたいです。
私たちはいったい、誰と文通してたんでしょう?
手紙の行方、気になりませんか?
2/18/2025, 7:00:39 PM