色野おと

Open App

謹賀新年
あけましておめでとうございます。

お隣のそのまたお隣の石川県で大きな地震。
新年早々に。

やっぱり日本には……
絶対的な神様なんて居ないんだって思ってしまった。
日本の正月を根底から覆すことを思わずには居られなかった。

世界の何処の国でも、人というのは自分たちがワイワイ楽しみたいために偶像をでっち上げる不信心者が多いって、なにかの特集記事で読んだことがある。そして、私はそんな不信心者にはなりたくないと強く自分自身に願ったものだった。そしてそうやって神社が祀る神様を信じて生きてきた。

2024年1月1日。
私は人生で初めて不信心者と同じ心情を抱いてしまった。それこそ、私の心の中で大きな地震が起きたようなものだ。

だけど、そうなのだけれども。
どんな災害に見舞われようとも、諦めない限り人というのは復興できるということを、世界中の災害のあった国々のニュースや記事を視聴して読んで知っている。そしてまた人には信じることによって再生出来るチカラがあることも知っている。

……試練。
そんな言葉がよぎった。かの有名な哲学者ニーチェが自著『偶像の黄昏』の中で云っている言葉を思い出した。

〝Was mich nicht umbringt,macht mich staerker.〟と。

原文はドイツ語なのだけれど、これを英訳すると
「What does not kill me, makes me stronger.」となる。直訳するなら
「私を殺さないものは、私をいっそう強くする」なのだ。

しかし、一般に広く訳されているのは《生あるかぎり、すべてが試練だ》という言い回しである。私も学生の時に読んだその言葉のままで記憶に刻まれている。私の過ごした母校の大学には「全人教育」という珍しい科目があって、全ての学生が履修することになっているわけだが、その授業で教授から教わったことだった……

平和ボケしていたのだろうか、いつの間にかずっと大切なことを忘れていたような気がする。人は生きている限り試練の連続で、またその意思の選択の連続であるということを。

新年、1月1日という元旦に気づけて良かったと思う。
ニーチェのように絶対的なものを否定的に捉えるニヒリズムを主義とするものではないけれど、私もどちらかと言えば安易に絶対的なものを信じようとは思わない。
まずは自分が自分の中で経験してきたものから学び、その確かなものを信じなければ、本当の意味で地に足をつけて物事を考えることは出来ないのだと、改めて気づかされた。
こんなことを考える新年は、私の人生で初めてだったかもしれないなあ。


テーマ/新年

1/2/2024, 1:33:05 AM