詩『離島殴打事件』
(裏テーマ・遠くの空へ)
俺は、遠くの空へ、叫んだ。
「犯人は絶対にー、捕まえてみせるからなー!」
恋人はドクターヘリに乗せられ病院に運ばれた。
頭の傷は深く出血も多いことから生命の危険があることは俺にもわかっていた。しかし、刑事である俺は犯人を捕まえることを優先した。
離島だが最近は人気で観光客も増えていた島だった。
そこに恋人は、女友達が怪我して行けなくなったから代わりに俺と二人で行かないかと相談されたのだ。すべてのチケットは購入済みでタダでくれると言うことだった。
その日は俺たちは久しぶりのデートの約束を前からしていた。俺には珍しく二日も休みがあったのだった。
事件は、島に向かうフェリーで起こった。
二人で座っていたが俺がトイレに行って戻ったら恋人は床にうつ伏せで倒れていた。
俺たち以外は、船長と乗客が三人。
恋人らしき男女と一人旅の男だ。
この四人の誰かが犯人か?
事件は同僚の捜査で一気にすすむ。
恋人にはストーカーがいて、お金に困っていた女友達にそのストーカーは近づいて、俺たちを島に呼び寄せたのだ。
俺の眼の前で犯行を見せつけ、俺に勝ちたかったようだ。
実は犯人はトイレに隠れていて俺が行くのを待っていた。
俺がトイレに行き、そこで交代して入れ替わった男がストーカーだった。犯行後は海に飛び込み泳いで島まで辿り着いたようだ。
他の乗客たちも他人に興味はなく犯人の存在に気づかなかったようだ。俺以外は。
そう、刑事の俺を馬鹿にしちゃいけない。
チラッとすれ違っただけでも顔を覚えられるんだ。
その顔が船にいないので、必ず島にいると確信して俺はドクターヘリに乗らずに、すぐに島中を探したのだった。
翌日には俺は病院に駆けつけた。
絶対安静の状態だったけど恋人がニコって笑ったから、俺は涙が止まらなくなる。
そして看護師さんの目を盗んでキスをした。
ちょっと気晴らしに病院の屋上に上がる。
離島のある、遠くの空へ、叫んだ。
「ざまぁーみろー!くそったれー!ばかやろー!」
そして、
「◯◯◯、大好きだー!」
みんなが振り向いて見ているので、俺はダッシュで逃げだした。
4/12/2024, 1:37:26 PM