→短編・祭りの後
ライブ後、会場から観客が帰路につき始めていた。昂揚した面持ちの彼女も、その1人である。
1人でライブに参加していた彼女は、火照った頬をひんやりとした外気で冷めしながら最寄りの駅に向かっていた。同志たちの間を足早に縫って歩く。
「今日のセトリも最高!」
「あの曲が入るとは思わなかった〜」
「ライブの時のあの曲、化けるよね」
耳に入る感動の一つ一つにウンウンと心のなかで頷きく。ライブの余韻に浸る帰り道が彼女は大好きだった。ライブ会場よりも仲間意識が高まる気がするんだけど……、これってアーティストにとって、褒め言葉になるのかな?
電車に乗って、スマートフォンでさっそくセトリのプレイリストを組む。視線を感じて目を上げると、ライブグッズを持つ同年代の女性と目があった。
お互いに軽く会釈した後、彼女はイヤホンを耳に入れた。
テーマ; 仲間
12/11/2024, 2:06:16 AM