《※続:静寂 〜 一目惚れ編 〜》
雲高く天気は晴れ、そして青空が美しいこの日
季節は秋だが、10月と云うのに夏の草木の緑がまだ美しさを保ち育っている、この摩訶不思議な気候の中
俺、秋風吹は今日も荻窪第2図書館へと歩いて向かう。
よく自分の外見で判断されるのだが、端から視れば自分は❝チャラそう❞と、思われるし言われる。
その理由は、2つ。
1つ、服装が派手&ギャップ萌(?)
2つ、自分の声が艶っぽくセクシーすぎる…だそうだ。
幼馴染曰くどうやら俺は男女関係なく皆、吹に恋に堕ちる!…とか、悪魔や魔王と陰で呼ばれているらしい。
今日も、考古学の講義を受けていて自分の隣の席に座っていた、対して話したことも無い男子大学生に告白された。…勿論、丁重にお断りしたが何とも言えない気持ちのまま昼食の時に食堂で共に食事をとっていた幼馴染にこの話したら爆笑された。
正直…断る事と人に好かれる事にうんざりとしていた。
暗い気持ちのまま1人で大学を飛び出し賑わう町中を歩いていた。上着のポケットに入っていたスマホが鳴った取り出して、画面を見ると幼馴染から遊びの誘いが来たが…今日は、そんな気にもなれなかったから
《今日は帰るよ。また今度誘ってくれ》と、返信
〜♪
<分かった。気をつけて帰れよ>
…こういう時にしつこく誘ってこない幼馴染に感謝だ。
彼のこういう性格は嫌いじゃない。
少しだけ、暗い気持ちが何となく晴れた気がした。
しかし、このまま家に帰るのも…っと思った俺は、ふと
久しぶりにお気に入りの図書館へ行こうと考えた。
「…うん…今日は、荻窪第2図書館へ行こう。」
彼処の図書館は、周りに花や草木が多く植えてあり自然の中に建っている図書館だ。おまけに静かで心が落ち着いて…ゆっくりと本が読める。
大学から歩いて少し裏通りを歩き20分の距離にその図書館は有る。
秋の陽気を感じつつ、ゆっくりと歩いて図書館へ向かう
今日は、何を読もう?そんな事を考えていると、十数メートル先の図書館の入り口付近で、マリーゴールドが植わっている花壇に水やりをしている男性が1人
(見たことが無い人だな…)
背は、俺よりも高く。歳は…20代後半ぐらいだろうか?
第一印象は、派手よりも地味な服装を着ている人だな…
っと、思っただけだった。
彼のワキを通り過ぎる時に、軽く挨拶を済ませ入り口へと入ろうと扉に手をかけた時にふと、好奇心からか彼は一体どんな顔をしているのだろう?と、気になりチラリと横目で見てみた。
少しタレ目で、左耳に小さなピアスを付けていて…
花を見つめる優しげな眼差しと小さな声で俺の好きな外国の歌を楽しそうに鼻歌で歌っている声と中性的な横顔に俺は…恥ずかしい話だが一目に恋に堕ちてしまった。
数秒見つめた後、ハッと我に返り冷静を装いつつ図書館へと入っていったが自分の心臓がバクバクと煩く脈を打っていた。人に想われる事が多いが、人を想う事をしなかった自分が初めて誰かに恋をした瞬間だった。
(また、此処に来たら彼に会えるだろうか…?)
10/10/2025, 3:35:20 AM