Kanata

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暗がりの中で、僕はひとり散歩をしながら考え込んでいる。
僕の現状もこの夜空と同じよう、真っ暗な闇に包まれないかと心配なのだ。1寸の光さえもない日々はとても怖いだろう。過去に経験したことはあるが、何度も闇夜を歩きたくは無いものだ。

都会にいると本当の闇夜は訪れない。何かしらの明かりがあり、喧騒があり、人通りがある。それらがなく、月の光もない夜はどんな気持ちなんだろう。案外落ち着くのだろうか、心地の良い孤独に包まれながら小説でも書いているのだろうか。僕は孤独は怖くないが、孤立は怖く感じる。孤立しない限り、僕に本当の闇夜は訪れないだろうと思う。

暗がりを歩き続けたら、気が付けば一人暮らしの家に着いた。鍵を開けると、明かりが見え、驚きの中部屋に入ると大切な僕の友人が料理を作って待っていた。友人はエスパーなのだろうか。今日のような落ち込んでいる夜に彼がいてくれて良かったと思う。そんなことは言えないから、僕は「ありがとう。」とだけ友人に告げよう。

暗がりを抜ければ光がある。時には暗がりに居続けたくなっても、誰かが僕を引っ張り出してくれる。自分の力でそこを抜け出せない時、今後も彼は僕を助けてくれるだろう。そんな希望を確信出来たら、僕の日々は暗がりだけではなくなる。

悩むことがあっても、きっと僕はもう過去と違って、1寸の光もない闇夜にはいないのだろう。
それが僕の幸せだ。

10/28/2022, 11:07:31 AM