帰り道、雲行きが怪しいなと思っていたら予想通りポツポツ、と雨が降って来た。
「やっぱり降って来た。傘持ってない。」
でもまだ小雨、この程度の雨であれば乗り切れる。
そう思えば思うほど雨足は強くなり服の色が段々と色濃くなっていく。
「仕方ない。少し走るしかないか」
駅まではまだ少し距離があるがこのままだと滴る程濡れてしまいそうだと荷物を抱えて走り出そうとした矢先。雨が止んだ気がした。
「傘持ってないのか?風邪引くぞ」
「衛輔くん」
見上げると私の方に傘をさしてくれている衛輔くん。
いつもバレー部の中では小さいと気にしているが私からしたら衛輔くんだって少し見上げないと目が合わない。
「今帰りか?」
「うん。衛輔くんは部活ないの?」
「もう終わった。そしたら傘さしてないお前見つけて驚いたよ。天気予報くらい見ろよな」
反論する言葉も見当たらず、すみませんと呟くと彼は瞳をキラキラさせながら
「でもこうしてお前と近くで話せるの、なんかいいな」
表裏のないド直球な言葉に顔に熱が集まるのを感じた。
-相合傘-
6/19/2024, 1:14:36 PM