こんな夢を見た
こんな夢を見た。
大学で一番頭が良くなった。
毎回テストの順位は一桁だった。
こんな夢を見た。
大企業からスカウトが来た。
小さい頃から憧れていた仕事だった。
こんな夢を見た。
職場で初恋の人と再会した。
流れるように仲良くなった。
そんな夢を、見ていた。
現実は夢と違うのだ。
大学ではなあなあな成績だった。
働く先は地方の会社だった。
初恋の人は、今どこにいるのかも分からない。
何もかも、あの日思い描いた夢とは似ても似つかない。
その頃の僕が僕を見たら、きっと僕は悲しむだろう。所詮この程度の人間だったって。
たまにあの頃を思い出して、胸が苦しくなる時がある。劣等感か、それとも思い出かは、分からないけど。あの頃に戻れたら、無責任なままでいられたら、そう考える時はある。
じゃあ、そんな自分を変えようと努力はしないのか、なんて思う。
だけど、僕はこんな生活を捨てて、あの頃の夢になりたいとは思わない。ちっとも。
大学の時だってそうだ。成績はそこそこだったが、サークル活動やバイトに力も入れることができた。
地方の会社だが、家から近くて、人混みに飲まれることはない。
初恋の人はいないけど、プライベートで仲のいい同僚と上司ができた。
あの頃想像した将来とは違うけど、
あの頃見た夢とは違うけど、
この生活を、好きになってしまった。
こんな人生でも、今の僕は僕を愛せる。
それは大人になったからか、現実主義になり過ぎたかのどちらかは分からないけど。
明日も早い。今日はもう眠らないと。
布団に潜って、スマホでアラームをかける。明日は仕事仲間で飲みに行くんだ。体調は整えておくのに越したことはない。食いたいものは決めてないけど、行き当たりばったりでいいじゃないか。スマホの明かりを消して、僕は目を閉じる。
こんな夢を見る。
明日の飲み会が楽しくなるようにと、
明日の食うものが美味いものであるようにと、
明日も一日を終えられるようにと、
こんな生活が、少しでも長く続くように、と。
1/23/2026, 2:01:32 PM