「あいまいな空」
夜中に目が覚めた。
しばらく布団の中でじっと丸まっていたが、眠りの波はやってくる気配はない。
そうしているうちに、周りの景色がうっすらと明るくなってきた。夜と朝の間。あいまいな時間。
仕方ないと家族を起こさないように体を起こした。周りはまだ夢の中のようで。
居間は低い音だけが冷蔵庫から聞こえる。普段はテレビの音や人の声にかき消されて気にも止めない音。
世界で動いているのは冷蔵庫と私だけになってしまったような気がしてカーテンを開けて外を見た。
朝焼けも見えない、薄い雲に覆われた空。
すっきりとした綺麗な青空でも、目が覚めるような輝く朝日でも、見ることができたなら気持ちも晴れただろうに。
逆に雨が降っていればパタパタと落ちる音を、窓を伝う雨粒の軌跡を楽しんだかもしれない。
はっきりとしない、あいまいな空。
まるで私の気持ちのようだ。
未来に希望を持てず、過去を引き摺り、ふらふらと今日を生きている。
いつか青空の様に晴れ晴れとした気持ちになるのだろうか…まだわからなくて、私はカーテンを閉めてキッチンに向かった。
6/14/2022, 11:07:49 AM