霜月 朔(創作)

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夜の海


海辺の夏の夜。
君と二人で、浜辺を歩く。

私達の頭上には、
煌めく夏の星が瞬き、
眼の前に広がる暗い海の上には、
青白い月が、月の光の道を作る。

夜の海を見ていると、
その深い青闇色に、
吸い込まれそうになり、
このまま夜の海の波間に、
消えてしまいたい。
そんな想いに駆られる。

この衝動に抗わなければ、
私は楽になれるだろう。
だが。
繋いだ君の手の温もりが、
私をこの世に繋ぎ止めていた。

ふと、
貴方が一緒に居てくれるなら、
私は何処へ行っても幸せです。
そう言って、君は微笑んだ。

私は、繋いでいた手に力を込めた。
例え二人の身に何が起きようとも、
君の手を決して離さぬ様に、と。

夜の海は、静かな波の音を立て、
そっと、私達を呼んでいる。
…そんな気がした。

8/15/2024, 6:52:41 PM