天《そら》に散りばめられた星は、その空間から溢れない。流星や隕石、彗星が地球に降ってきたとしても、それらは〝宇宙〟という盃《さかずき》の中を漂っているに過ぎない。宇宙は膨張し続けているらしいのだけれど、恐らく、その中身をひっくり返す事は不可能だろう。期待を裏切ってくれるとしたら、人の言葉で示される〝神〟〝奇跡〟〝魔法〟くらいしかないのではないだろうか。
僕は、人間がちっぽけだという事を十全に理解しているつもりだ。だから、そうした言葉に縋りたくなる所以も心得ている。言語を操っている限り、どのような宗教であれ、すべて言霊信仰と言えるだろう。
人々の願いは、遡れば、無意識の最下層である〝元型《アーキタイプ》〟に行き着く。元型とは、人類共通の無意識の事だ。言葉の誕生は、偶然ではなく必然だったに違いない。
星という言葉が生まれた以上、そこには何かしらの意味が込められている。己の手でその解《こたえ》に辿り着いたとき、「星」から溢れてくるモノに触れられるのではないだろうか。
3/15/2024, 10:40:05 AM