sunao

Open App

「タイムマシンを作ろうと思うんじゃが。」

「博士!そんなものが作れるんですか!?」
博士の突然の言葉に助手のジョシュアくんは目をキラキラと輝かせた。
「うん。理屈的にはいけそー。
 だけど形をどんなものにしよーかなー。
 うきわ型、ひよこボート型、銀の卵型………。」
「うきわ、ひよこ…………?」
「うきわ型は全身うまく転送されるか自信ないんじゃよなー。」
「博士!それはいけません!」
「でも持ち運びしやすくて身軽じゃぞ。」
「いえ、それでもいけません。
 それはやめましょう!」
「そうか?じゃあひよこボート型かな。
 まあそれならなんとか持ち運べるし。」
持ち運べる……?
この博士の言葉で、博士の言うものが、池にある足漕ぎのボートのようなものではなく、海に浮かべる空気で膨らますようなものだというのがジョシュアくんに伝わった。
「銀の卵は仰々しすぎるしな。むだに重くなるし人が驚くし。」
形はひよこボート型に決定してしまったみたいだ。
かっこいいのがよかったジョシュアくんはちょっとがっかりした。

「ところで博士、博士はタイムマシンで一体どのような偉業を成されるのでしょうか。」
「ん?
 今はもうなくなった三軒隣にあったパン屋の角食パンを買うんじゃよ。」
口をあんぐりしてるジョシュアくんを尻目に博士は続ける。
「おいしいんじゃよ?
 毎週買えるよ?」
「……………。」



「もしもタイムマシンがあったなら」

7/23/2024, 12:06:29 AM