笑った顔が背を向けてドアを開ける。
それに向かって、思わず手を伸ばす。
でも、その先は空を切るどころがバタンとドアが閉まって物理的に遮断された。
おわったんだ。
あーぁ、せいせいするじゃない。
心配だってしなくていいし
不安にだってならなくていいし
嫉妬もしなくていい。
偏食に付き合わなくたっていい
出来もしないゲームに付き合わされることだってないし
好きでも無い香りの柔軟剤だってつかわなくてもいい。
―――それなのに
「行かないで……」
溢れた言葉と共に、涙が零れ落ちた。
10/25/2023, 8:51:51 AM