かのこ

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『太陽』2023.08.06


 ギラギラと照りつける太陽。という言葉がピッタリ合うほど、今日は暑い。
 日用品を買いに街に出たが、電車ではなく車を使えば良かったと後悔した。
 どこかで休憩でもしようかとカフェを探していると、肩を叩かれる。
 またぞろキャッチか、とうんざりしながら振り返る。
 果たしてそこにいたのは、帽子を被り、黒いマスクをした小柄な青年だった。
「キミか」
 表情を笑顔に作り替えると、彼は嬉しそうにする。
「こんにちは。お買い物ですか?」
「ああ。キミはオフかい?」
 そう問うと、彼は頷く。
「おれもお買い物なんです」
「おそろいだね。ねぇ、せっかくだしどっか店に入らない? お茶しようよ」
 取り留めのない会話。彼の職業的に、あまり注目を浴びさせる訳にはいかず、そう提案した。
 彼は一度うなずきかけたが、少しためらいを見せる。そして、意を決したと言わんばかりに、見つめてきた。
「おれの家じゃだめですか?」
「それは、魅力的だね。冷たい飲み物が飲みたいな」
 こうした「お誘い」にわざと気付かないふりをする。そうやってヤキモキする彼をからかって楽しむのが、俺は好きなのだ。
 こんな楽しいことがあるなんて、この暑い太陽には感謝をしなければならないな。

8/6/2023, 12:27:51 PM