答えは、まだ
彼女は問う。
「どういう女性が好みか」と
私は答える。
「どうだろう」と
彼女は問う。
「気になる女性はいるのか」と
私は答える。
「…いる」と
彼女の桜の花びらのような柔く透明で美しい瞼が見開かれる。
彼女は問う。
「そのひととはどんな関係なのか」と
私は答える。
「友人…の、ようなものだ……まだ」と
彼女は問う。
「いづれは友人ではなくなるのか」と
私は答える。
「彼女が私の想いに応えてくれるのならば」と
彼女は目に溜めた涙をこぼさぬよう天を仰いだ。
何かを押し殺したように彼女は問う。
「わたしと貴方は、友人ですか」と
私は答える。
「友人だ。まだ。」と
そう答えた刹那、不安げだった彼女の顔から暗闇が消えて涙を溜めていたその瞳はまるで太陽のように輝いた。
9/16/2025, 11:50:39 AM