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20歳

1月8日今日は成人の日
そして成人式だ

派手な晴れ着を着て精一杯のおめかしを
して 大人の仲間入りを果たしたと
自分に言い聞かせ大人ぶる。

友達とお互いの晴れ着を褒め合い
記念写真を撮ろうとスマホのカメラを
向ける。

しかしカメラを向けられて 無意識に
ピースサインをしてしまう所が
まだまだ子供だなあと自分で思う。

そして あの人にとっては、私は、いくつ
年を取ろうといつまでも子供なのだ。

「お~い!」呼びかけられて私は
振り向く 近所に住むあの人
成人式が終わり迎えに来てくれたのだ。

大きく手を振り ニカッと歯を見せて笑う
あの人 助手席に乗せてもらい
私の家まで車を走らせる。

「君も もう二十歳(はたち)か早いねぇ」
感慨深げにあの人は言う

「ねぇ 私も車の免許とろうかなあ...」と
唐突に私は、あの人にそんな事を言う

あの人は、笑って
「いいんじゃない 車を運転出来れば
いろいろな所に移動出来るし
自分の世界が広がるよ!
友達や家族をいろんな所に連れてってあげられるしね」

「....恋人もいろいろな所に連れてって
あげられるしね...」脈絡も無く私は、
そんな事を言う 言ってしまう....

(何を言ってるんだろう私は....)
少し気分が落ち込む

「そうかもしれないね!!だけど君の
彼氏になる人には、君に車に乗せてもらうんじゃなくて 君を車に乗せてくれる人を
僕は、希望するね!!」

ハンドルを握りながらあの人が言う
私は、思い切って
「貴方みたいな人が彼氏だったら私を車に
乗せてくれると思う?」

私は、上目遣いであの人を見る。

「そうだね まぁ僕のはただの送り迎えだけど... デートの行き帰りを送り迎えしてくれて 何より一緒に楽しんでくれる
大切な人が君に出来る事を僕は
願ってるよ!」 何の気なしにその人は
言う。

私は視線を外し...

「うん....そうだね ありがとう...」
窓の外を見ながらお礼を言う

そんな願いは、一生叶わないでと心の中で
願いながら....


あの人は、今三十二歳 
私は、今日やっと二十歳(はたち)

大人になろうがなるまいが あの人と
私の距離は、一生縮まらない

そんな現実を知る成人式なんて
大嫌いだ!!

(早く家に着いてよ!!)

心の中の子供っぽさをあの人に知られない
様にするのが今の私に出来る いっぱい
いっぱいの大人ぶる抵抗だった....。

1/10/2024, 10:49:52 AM