John Doe(短編小説)

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アナーキー


街は偽善者で溢れかえっている
誰も彼もすまし顔
歩きながらのスマホはトラブルの元さ
大通りを行き交う車はどれも白と黒ばかり
イカしたサングラスの学生は歩きタバコ
騒音、クラクション、誰かの怒号
ああ、なんて素晴らしいことだろう!
僕は今とても良い気分なんだ
こんな光景すら許せてしまうよ
なぜなら今僕は青春を生きているから!

つまらないことで腹を立ててちゃいけない
ここがそんなに嫌なら出ていけば解決さ
昨日彼女が髪を金色に染めたんだ
似合ってないなんて言えないよ
僕は髪を染める勇気すらないからね
笑っちゃうような些細な悩み事さ
世界にはこれでもかってくらいの地獄がある
僕らはまだ遥かにマシなんだ
地獄を見ずに楽観して生きていけるんだから
ああ、僕は今青春の中で輝いている!

昔もむかし、大昔のこと
僕らの先祖は刀で殺し合っていた!
何度も血なまぐさい争いの歴史があって今がある
僕らはとてもラッキーなんだ
たぶん今が歴史上最も幸せな時代だろうから!
僕はこの青春を無駄にしたくない
とにかく、アナーキーに生きよう
それが若者の使命なのだから
世界がこんなでも笑ってやるぞ!
そして声を大にして叫ぶんだ

『ざまあみやがれ!!』

大気汚染がなんだ!
経済不況がなんだ!
国際情勢がなんだ!
交通渋滞がなんだ!

アナーキーにこの青春を謳歌してやる!


8/4/2023, 11:23:33 AM