月が凪ぐ夜

Open App

君と僕は友達だった。
そして僕は君に恋をして、
君と僕は恋人になった。

たくさんの時間を共有して、
たくさんの好きを君にあげて、
たくさんの思い出を作った。

そして…
いつしか僕と君はすれ違い、
僕と君は友達に戻った。

それでも僕らは変わらずにいるのだと、
隣で笑い合う関係がいつまでも続くのだと、
―――そう、思っていた。

君がほかのだれかをアイスルマデハ…

僕ではない誰かに想いを寄せて、
君が好きの言葉を小さく囁く。
君の幸せそうな顔を眺めて、
僕は静かに嗚咽を漏らす。

友達でいいなんて…本当は思っていなかった。
けれどその「友達」という二文字だけが、
僕らを繋ぐ唯一のものだったから。

僕は今でも、君の友達を続けている…。


【友達】

10/25/2023, 12:15:05 PM