300字小説
変えられた未来
「どうして……!」
処刑台で命を散らす夢に私は飛び起きた。そう、私は前世、悪役令嬢として、民衆の怒号の中、処刑され、時をループして生まれ変わったのだ。このままなら五年後、私はまた処刑台に立つ。ぐっと拳を握る。
「きっと、未来を変えてみせる!」
「どうして……」
そして五年後、私はまた処刑場にいた。五年間、前世の記憶を頼りに性格を変え、生活を変え、親達の考えを変え、付き合う人々を変え、あらゆる手を尽くしてきたが、私の未来を変えることは出来なかった。ただ一つ出来たのは。
「どうしてなんだ!」
一緒に処刑されるはずだった彼の未来を変えること。今、処刑場の柵の向こうに彼がいる。その結果に笑みながら私は段を登った。
お題「どうして」
1/14/2024, 11:16:58 AM