「別れ際に」
昔から人と話すのが苦手だった。
会話を振られて、言いたいことはあるのに頭が真っ白になって話せない。
人見知りもあり、どもっているうちにだんだん人は私からとおのいてった。
あまり大きな町ではなかったから、スタートダッシュを失敗し自分はいつも1人、誰も話しかけてくれなかった。
そんな毎日に終わりが始まる。
学校の下校中、一人の男の子が話しかけてくれた。
男の子に私は話せる気がした。
それから放課後、男の子と一緒に遊ぶようになった。
毎日、毎日、毎日、毎日、
ずっと一緒だった。
男の子は学校には来ないし、他の子は男の子と話さない。
自分だけ男の子と話す。
小さな独占欲が出て来たきっかけだった。
男の子は自分の物だ、そう自慢したかった。
でも自慢すると男の子が取られる気がして秘密にしてた。
そんな私も中学生になった。
男の子とは会う頻度は減ったがまだ良く遊ぶ。
そうそう、男の子の名前は夢不(むふ)と言う。
というか、訳あって名前が出せないから名前をつけてと言われて昔つけたのだ。
なんでむふにしたのかは覚えてないが可愛くていい名前だと思う。
それで何となくだが一つ気づいたことがある。
夢不は正体を知られたらいけない理由があるのでは無いかと思う。
きっとどこかの御曹司で、市井を知るためにこの町で暮らしているんじゃないかと、
そうなるとそろそろ夢不、引っ越す?
……え? ………?
え?
?
え?
どうしよ。
今更ボッチとか嫌だけど、
夢不居ないと生きていけないよ?
いやまぁ生きるけどさ
「むふ~引っ越さないで〜」
つい隣にいる夢不にそう言っていた。
いや、引き止めることはできないけどさ、、嫌だよ〜
そう悶々と唸ってるとなんの気無しに夢不は言う。
「まだ引っ越さ無いから安心して?」
なんでいきなり引っ越すとかの話になったのか不思議がってるが気にせずに答えてくれる。
やはり夢不は私という存在を分かっているな!!
あれから考えたんだが、夢不が御曹司うんぬん置いといて引っ越すときがあったりすると私は絶対に泣きつく
そんで絶対に困らせる。
そうなると凄く迷惑をかけるだろうな…
だからいつ何があっても良いように、むふが居なくても何とかなるようにしよう。
それから私はひとまず友達を夢不以外に作ることにした。
最初はクラスの女の子と話せなかったけど少しずつ、だけど着実に話せる頻度が増えて言った。
その影響か、クラスの人が話しかけてくれるようにもなっていった。
友達が出来て、夢不と会う頻度が減っていった。
週に5日会ってたのが4日、3日、2日と、減ったいた。
そうやって私の世界が広がる時、夢不が居なくなった。
夢不とはいつも同じ時間に湖の前の公園で待ち合わせしていた。
携帯は私は高校生になってからだったし、夢不も持ってなかった。
だから絶対に待ち合わせには用事が入ってもまた合うために一瞬でも合うようにしていた。
そんな夢不が居ない。
いつもの時間、いつもの場所、無のに夢不だけが足りない
いつも居るのに…
あれから毎日公園に行くのだが夢不とは会えないままだった。
どこ行ったんだろ夢不。
あれから夢不とは会えないまま、高校生になった。
夢不の代わりと言うように友達は増えていった。
でも何か足りない。
夢不はいつも私を理解してくれた。
それでも居てくれるだけでありがたい。
そうな順調な高校生活をしていたけど、気に入らなかったらしい。
ノートは破かれ、筆箱はゴミ箱、上履きには押しピン、
先生がいない時は暴言をはかれ、一人のけ者にされる。
いわゆるイジメだ。
少しずつ、だが着実に私の心はすり減る。
それに伴って私の健康と、イジメはもっと劣悪なものになる。
学校にいくと私の席だけなくなっていたり、水をかけられたり、、、、
こんなものだとまだいいが、トイレに顔を突っ込まれたり、、、
これ以上は、
で、こんな酷い事をされてるのに先生は黙認。
小さな田舎の高校だから問題になるとすぐにっちもさっちもいかなくなるらしい。
私が自殺したらそんな話しじゃないと思うけどな。
そこまで頭の回らないバカどもだと思わなかった。
あぁ、夢不に会いたい。
私を迎えに来てくれないかな?
もう疲れたよ?
夢不と待ち合わせしていた公園、もう3年も会ってない。
高2だよもう。
元気してる?
私頑張ったよ。友達作って人と話せるようになったよ。
イジメに合ったけどこれまで生きて来たよ。
ねぇもういいかな?
私がこの世と別れ際夢不の声がした。
「noise noise noise じゃあね。 noise noise」
「noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise iseno noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise noise」
イマジナリーフレンド
通常児童期にみられる空想上の仲間をいう。
イマジナリーフレンドは実際にいるような実在感をもって一緒に遊ばれ、子供の心を支える仲間として機能する。イマジナリーフレンドはほぼ打ち明けられず、やがて消失する。
9/28/2024, 1:01:40 PM