灰業みずり (話はどれも同じ世界です。是非に)

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「ねぇ、貴方の宝物はなに?」

 ある日、空を飛んでいる2人の男女。
 女が男にそう問いかけた。

「そんなの、貴女といる瞬きの間に決まっているではないですか」

 そう言う貴女は?と彼は言う。
 それを聞いた彼女は徐に箒から身を乗り出し、宙に身体を預けて落下した。

「---!!!」

男は彼女の名前を呼び、自分も箒から飛び降り、彼女を抱きとめ、箒を召喚してなんとか元のポジションに戻る。
 先程と違う点は、彼女を抱き止めているくらいだが。

「私の宝物はね、無茶な事をしだす私を全力でたすけてくれる貴方とね。貴方も言っていたように、思い出かなぁ」

「驚かせないでくださいよ。まだ動悸がする気がします」

「スパイシーな思い出が出来て、よかったじゃない」

 そうして箒に腰掛けている2人は、身を寄せ合い、空という宝石箱の中の宝石のように、輝いているのだった。

11/20/2023, 3:07:06 PM