珊瑚樹

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これからも、ずっと

買い物帰り。家の前の長い坂道をやっとの思いで登り切り、少し立ち止まって振り返る。

かなり長い坂だから、上からは町全体が見下ろせる。
私はこの景色が好きだった。

今の夫と結婚し、この町に移り住んでからはや15年。
3人の子供に恵まれ、1番上の子は今年中学生になる。

パートをこなしながらする育児は大変だが、子供達の笑顔を思うとどれも手を抜く気は起きなかった。
夫も仕事が軌道に乗ったらしく、ここ最近は上機嫌だ。

でも時々、ふと考える事がある。

この生活はこれからもずっと続くのだろうか。

もしこの先に耐えられない様な不幸が降り掛かったら?
これ以上の幸せを他に見つけてしまったら?

今この瞬間はいつまでも続くものだと誰も確約してくれない。幸せであればあるほど、壊れるのが堪らなく恐ろしい。


"おーーい!おかーーさーん!"

遠くから私を呼ぶ声がする。

いつの間にか下がっていた視線を上げると、坂の下で下の子2人が手を振っていた。
こちらが堪らなく幸せになる様な、幸福の笑みをたたえて私を呼んでいた。

まだ幼い2人は体力がある。私が必死に登った坂を勢いよくかけ昇ってくる。

そんな景色を見ていると、"ああ、これはこれからも、ずっとそうなんだろうな"と思う。
具体的な言葉に出来ない、雰囲気の確信。

だか臆病な私を安心させるのには十分だった。

登って来た2人と手を繋ぎ、家に帰る。

この生活はこれからも、ずっと続くのだろう。

4/8/2026, 11:19:45 AM