『月夜』夜のランニングをするのにちょうどいい気候が戻ってきた。ウォーキングや犬の散歩をする顔見知りの人たちも戻ってきているらしく、挨拶を交わしたり、犬に吠えられて飼い主に謝られたりすることもたびたびある。ランニングコースの折り返しを過ぎて目に入るのは空に浮かぶ月。冬の冴え冴えとした空気の鋭さは薄れて、うっすらぼやける朧月から春の気配が漂っている。じわりと汗ばみ、上着を抱えてまた走る。梅や水仙の香りが鼻をくすぐっては消えていった。
3/8/2024, 2:58:28 AM