鈴懸ダリア

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紫蘇ジュースのような赤紫色の蔦が、生気を失った高層ビルに絡みついている。アスファルト舗装されていた道路には、まるでモグラが通ったかのように地面が歪に盛り上がり、亀裂が入り、陥没している箇所もあり、コンクリートの瓦礫が散乱していた。

仰向けになった車の後部座席は、あかあかと燃え上がる炎が立ち上り、どこからか鳥が金切り声を上げて叫び、からからと乾いた風がこの死んだ街を吹き抜けていく。

彼は空を見上げた。

黄土色に染まった空。かつては青空が広がっていたはずの、醜く汚らしい空。

顔を覆っているガスマスクに触れながら、彼は笑う。

「侵略、完了」

6/11/2023, 3:04:23 PM