猫好き 花純

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大きな茶色の扉の前にたち、息を殺すと

金色のドアノブをゆっくりと引いた。

キィー...



「ようこそ!私の城へ!」

誰がベルを カラン カラン とならしながら、

らせん階段をおりてきた。

きっと王女だ。

声もとても美しく、心に響く。

ピカピカと輝く王冠を頭にのせて

堂々としている。

「何か用があるのでしょう?
こちらへ。」

近くの小さなテーブルにベルを コトン と

置くと、トコトコ歩き、白い扉の前にたった。

「お先にどうぞ」

そういうと、頭を下げた。


扉を開けた。

カァー!

と、聞いたこともない音が城に響いた。

えっ。 と驚く暇もなかった。

なぜなら、扉から吸い込まれたのだから。

やっ、やめて!

叫んだつもりだった。

でもそれは届いていなかった。

王女はふふっと笑うと

ベルをならした。

カランカラン…カランカラン…………

急に静かになった。

「わたくしはもうあなたの正体を
知っています。城を支配するなんて
100年早いわ。もう二度と来るな。」

ヒモで首をしめつけられているような

苦しみに襲われた。

そしてどんどん扉に吸い込まれていった。

そこから記憶がない。


「起きて〜!」

友人がベルをならす。

ベルの音に、青ざめた顔で

ぱっと起き上がった。

友人の顔を見て、

「ベルはもうやめて!」

と強く叫んだ。

へっ?と、あまり理解していない友人。

「ごっ、ごめん、、」

友人はそう言うと静かに部屋を出た。




それからもうベルの音は大嫌いになったし

もう聞きたくなくなった。

前は、はっきりとした、カランカラン という

音...ベルが好きだったんだけどな。

実はこういうことが前にもあった。

でもそのときはあまり気にしていなかった。

今回のは前のよりも王女が恐ろしく見えたのである。


「ベルの音」








12/20/2023, 12:17:39 PM