小さな頃、冬の日は起きるとすぐにベランダに向かっていた。雪の降る日を心待ちにしていたのだ。はらはらと雪が舞う日、一面に見える屋根や道路を真っ白に染め上げた日は身支度もそこそこに朝一番に飛び出した。寒さなんて露知らず、白銀の中で踊る。まるで雪の精霊と戯れるが如く、ひとり笑っていた。久し振りに、雪が振る日に外へ出た。雪は今も昔も嫌いじゃない。服の隙間から雪や北風が入り込んでは身体を冷やしていくのを感じた。もう、精霊は見えないのだろうか。
12/15/2024, 8:00:29 PM