Tamaomutsu

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たった一つの希望。

けたたましい怒声が背後から聞こえる。どれほど走っただろうか。逃げども逃げども湧いて出てくる追手に辟易しつつも足を止めない。
もう少し、あともう少し。
最後の階段を登り切り、屋上の扉を開けた。ヒュッと鋭い風が頬を撫でる。このビルの標高による風音に怯えを感じつつも、一つ息を吐く。

大丈夫、これが、今の状況でのたった一つの希望。
後ろに後退り、そのまま一気に駆け出す。

音が近づくとともに視界には目一杯の夜空。

大丈夫。
大丈夫。
飛べ!

勢いよくビルの柵を飛び越え、叫ぶ。


「っ着地、任せた!相棒!!」

ジェットコースターが一気に走り出した時のような浮遊感の中視界の端で見慣れた色が見えた。

それを視認した時には腕に抱えられ勢いよく別のビルの窓をぶち破る。

衝撃はあったものの、命はある。
大きく呼吸を繰り返し生きていることを実感した。
傍らにいる相棒も同じように深呼吸した後立ち上がり、手を伸ばしてきた。


「こんな無茶苦茶な作戦、こりごりだからね」
「ははっ…でも、上手くいったでしょう?」






あなたがいればどんな絶望的なシーンだって
希望の道が開かれる。

3/3/2026, 3:27:31 PM