「冬晴れ」
ネックウォーマー、帽子、手袋、ゴーグル。
あっ、順番間違えた。
先に手袋を着けちゃうと、細かい指の動きが難しくて何もできなくなっちゃうんだった。
ゴーグル、手袋。
「準備できたー?」
「うん。今、行く」
今日は初めて友達とスキーをするんだ。
昨日は楽しみすぎて寝れなかった。
「お待たせ。ウェア、めっちゃかっこいい」
「そう?ありがとう」
スキーのウェアって何でこんなにおしゃれに着こなせるの。
普段もボーイッシュなイケメンだけど、今日はいつも以上にきらきらしていて、眩しくて見れない。
「行こっか」
何回かリフトを乗り換えて頂上まで行く。
危ないけどちょっと後ろを振り返ってみた。
こんなに高い場所まで来たんだって分かってちょっと嬉しくなる。
夏はこういうところを歩きで登ってるわけだから、リフトのありがたみが分かって少し感動するのだ。
その間友達は危ないよ、と注意しつつ、私の体を支えてくれた。
中身もイケメンすぎないか…?
セーフティーバーを上げ、頂上に降り立つ。
頂上の景色は今までで一番だった。
私たちの周りをぐるっと囲み連なる山々のてっぺんが白く染まっていて、雲一つない澄み渡る濃い青空とスキー場の白い雪が綺麗に一つにまとまっている。
太陽は優しく大地を照らし、雪は光を反射して宝石のようにキラキラと輝いていた。
「今日は焼けそうだね」
「こんだけ晴れてたらね。雪焼けしちゃう」
日焼け止め塗り忘れたから後で塗らなきゃ。
そう思いつつ、眩しいのでゴーグルを被る。
「あっ、ねぇ。下の方に小さく赤い屋根が見えるよ」
「あそこがセンターハウスか。遠いね」
「今、頂上だから」
「そうだ、写真撮ろうよ」
あの時撮った写真はちゃんと残ってるけど。
写真を撮らなくても、もうこの冬晴れは目に焼き付いちゃっていつまでも離れないよ。
(雪目になっちゃった)
1/5/2025, 1:20:03 PM