【I love…】
「愛想が尽きました。」
地上を見て、神様は言った。
神様は同じ姿で愛らしいと思ってましたが、争いは絶えないし、被造物を壊すし、とてもじゃないが、見ていられません。
それに神様には許せないことがありました。
「ここいらの彼らは私の世界ではなく、自分たちの作り出した世界ばかり見ています。
画面の中がそんなに面白いのでしょうか?」
神様はそれが許せませんでした。彼らのために世界を作ったのに、彼らは世界を見ようとしません。
「もう一度、洪水で滅ぼしてしまいましょう」
稲妻の杖を携えて、神様は振るおうとしました。
「お待ちください。」
神様に声をかけたのは、彼らに詳しい天使でした。彼はこんな提案をしました。
「世界を洗い流す前に一度くらい、彼らの作ったものを試してみては?」
「ふむ、それもそうかもしません。なら、私に彼らの使っている。あのモニターを持ってきてください。」
天使はすぐに持ってきました。彼は一通りの使い方を教えると、長方形の薄型のそれを神様に渡しました。
それから神様は、それにすっかり夢中になりました。時間を忘れて、滅ぼすことすら忘れて、それに熱中しました。
ですが、何十年か後、神様は彼らを洪水ですっかり流してしまいました。
「何故、滅ぼしたのですか?」
天使は問いました。
「あれはとても魅力的でしたので、彼らの代わりに私はあれらを愛することに決めました。」
1/29/2023, 1:39:20 PM