シオン

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『カオル、カオル!!』
「え、何!?」
 そんな声で目が覚めた。あまりにも慌てた様子だったから急いで起き上がったけど、声を掛けたのはお母さんでもお父さんでもなくて、マスコットだった。
『起きたね、カオル』
「…………アラーム何回スヌーズにしてた?」
『いいや、まだアラームには三十分ほど早いね』
「………………早い?」
 言っていたことが信じられなくて問い返したけど、マスコットは深く頷いて言った。
『うん、早いね。今は六時。キミのアラームは確か半だったはずだろう?』
「そう、だけど………………」
 段々と頭が整理されてきた。じゃあつまり、あたしはアラーム前にコイツに起こされたって言いたいのか。最悪だ。何がしたくてそんな真似を。
 早く起きたあたしがバカだった。もういい。三十分でも寝た方が有用だ。朝早く起きるのは大切なことだけど、いつもより早いのは良くない。生活リズムってやつが崩れちゃう。
 いそいそと布団に潜り込む。冬休みに早く起きてるってだけでも偉いのに無理やり叩き起さないで欲しい。
『カオル、起きて欲しいな』
「なんで、何のために」
『いまさっき化け物が近くにいるのを検知した。つまりこっちに来るのも時間の問題だ。その時にキミが寝てたらキミが死ぬのは確定事項になるよ』
「…………眠いんだけど」
『……構わないよ。それが永遠の眠りでよければ』
 マスコットはしれっとそう言った。本当になんでコイツは正義の味方みたいな顔してるんだろう。どう考えても敵じゃない?
 眠い目をこすりながら起き上がる。着替えるのが至極面倒だからとパジャマのままで中指に付いているリングにキスを落とせば、そのまま変身できた。
『やる気になってくれて嬉しいよ』
「死にたくないからね」
『じゃあ戦おう。日の出、見れるといいね』
「…………何時なの」
『今日は七時近くだよ』
 なんともなんとも絶妙な時間。一時間でカタをつけなきゃいけないのは大変そうなような、そうでも無いような。
 眠過ぎて眠過ぎて死にそうなあたしのやる気はほぼ地についてると言ってもきっと過言じゃなかった。

第三話 日の出

1/3/2026, 4:44:27 PM