アルベルト幸薄

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この場所で友人は死んだ。今日は友人の命日である。あの日から5年の月日が経った。その友人とは高校生の時に知り合った。気前の良いやつだった。俺は俗に言う陰キャと言われる種族の人間だったのでクラス替え後の休み時間は基本一人でスマホをいじってた。そんなときあいつは俺に話しかけに来てくれた。何度も何度も。最初は面倒なやつだと鬱陶しく思っていたが、いつの間にか話しかけられるのをワクワクして待っている自分がいた。それからプライベートでも合う関係になっていった。だが、半年後の事。その友人は学校の屋上で俺の視界からゆっくりと消えていった。その瞬間は俺にとってはあまりにも遅かった。あまりにも悲しかった。目が覚めると病院にいた。その場に来た先生の対応が早くギリギリ生き延びたようだ。あと一歩遅ければ死んでいた。俺は無事退院したあと、学校の屋上に友人を呼び出し殺した。警察に怪しまれはしたが証拠がなく捕まらなかった。俺はがっかりしたような、安心したような複雑な気持ちであった。あの時を思い出す。友人の背中を押したときの感触が今も残っている。しかし罪悪感はない。だってあいつが悪いんだ。俺が好きなことを分かってて奪ったんだから。俺は人殺した。そしてこれからもう一人殺さなくちゃならない。そいつはとんでもない極悪人だ。二人も人を殺したんだから。「一度は経験したことだ。恐れることはない。」すると彼は屋上から飛び降りた。

2/12/2024, 11:32:19 AM