海の名無し

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「別れよう」
彼氏から突然告げられた、最悪の言葉。
「なん…で…」
その辺のカップルよりかは、充実した生活を送っていたと思う。
これじゃ、満足できなかったの?
私に何か非があったの?
もしかして好きな人ができたの?
たくさんの質問が脳裏によぎる。
だけど。
「わかっ…た…。」
それでも口から出た言葉は『肯定』だった。
「…ごめん。」
私が愛したあなたは気まずそうに俯く。
せめて、別れ際くらいは。
「な、ど、どうしたの!?」
あはは、すごく動揺してる。
「…最後くらい、私からしてみようと思っただけ。」
彼の唇に私を重ねた。
「…っ」
彼は頬を真っ赤にして唇に手を当てる
「ふふっ、惚れ直した、なんて言ってももう付き合ってあげないんだから」
いたずらっぽい笑みで微笑んで、私はその場から去った。
私は最後まで彼の『彼女』で居れたよ。

お題:別れ際に

9/29/2023, 9:38:54 AM