Ayumu

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 ああ、まぶしい。
 まぶしすぎて、やみくもに手を伸ばしてもその場所に届かない。
 いつも周りを明るく照らし続けて、なのに自身の煌めきは全然衰えない。
 誰にも真似できない。手に入れられない。
 わかっていても、うらやましい。


 ……というような話をついしたら、思いきり呆れられた。

「なに言ってんだよ、こっちだってお前がうらやましいって思ってるのに」

 聞き間違いではないみたいだった。みんなの中心にいるお前が、自分をうらやましいだって?

「お前の話聞いてると俺が光みたいな存在だって聞こえるけど、ならお前は闇だ。といってもマイナスな意味じゃないぞ」

 暗くて怖い。なんだかじめじめしていそう。ずっと浴びていたら気分が落ち込んでしまう。……今挙げてみただけでも、マイナスなものしかなかった。

「お前みたいに言うなら、ずっと照らされ続けたらいつも元気でいなきゃいけない、頑張らないといけないって気持ちになるだろ? そうしたら休む暇がないじゃないか。闇があれば隠れられる。休めるだろ?」

 つまり、そういう存在だと言いたいのか? まさか、今まで一度も意識したことはない。

「お前と話してると不思議と落ち着くし、実際相談されたりただ話聞いてほしい! ってやつも多いんじゃね?」

 確かに、どうして自分のところに来るのだろうとは思っていた。それでも毎回、自分なりに力になれるようにと気持ちを込めながら対応していたが、間違いではなかったのだろうか。

「俺はせいぜいやる気を上げるくらいしかできないから、いつもすごいと思ってるし、真似したくてもできないよ。ま、お互い様ってところだな」

 歯を見せて笑い飛ばす彼に、やっぱりかなわないと思いつつも、心の中が優しい光で包まれたような気分になった。


お題:ないものねだり

3/27/2023, 8:34:34 AM