とある恋人たちの日常。

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 風と共に愛しい彼女の歌声が聴こえる。
 歌詞が分からないのか、鼻声でラララと唄う。それには寂しさを含んでいた。
 
 出会いがあれば別れも当然ある。
 俺なんかは医者を生業としている以上、別れなんて身近だ。
 
 でも、俺の恋人は〝別れ〟を受け入れるのに時間がかかる。別れは彼女の心をえぐってしまうから、俺は彼女のそばにいるしかできない。
 
 でも彼女の気持ちも分かるんだよね。
 俺の場合は、それこそ彼女を喪うなんて絶対に耐えられそうにない。
 今の俺にとって一番大事な生命は彼女と自分自身だ。
 
 俺の立場じゃ、生命に優劣をつけちゃいけないのは分かってる。それでも俺が俺であるために譲れないものだ。
 
 歌声に誘われて彼女の隣に座る。
 別れは寂しいよ。だからこそ、俺はそばに居るね。
 
 
 
おわり
 
 
 
五一五、LaLaLa GoodBye
 
 
 

10/13/2025, 2:26:43 PM