暗い青、冷たい水、押し潰される感覚、無。
私が生きたいのは、そんな世界だ。
「...羨ましい。」
写真を眺めながら、ルナはそう呟いた。海の底、光の届かない暗い場所。
目を閉じて、想像する。
ー独りでそこに浮かんでいる。苦しくはない、もう私には肺呼吸は必要ないから。周りは水の音に満ちている。それ以外聞こえない、静かな世界。誰にも気付かれず、誰にも干渉される事なく、宛もなく水中を漂っている。身体が冷たい温度に包まれて、私は海面を見上げるー
暫く目を閉じた後、ルナは写真を机のカバーに挟んだ。偶に、こういう事をするのだ。写真を取り出して眺めては、その世界に浸る。するとほら、自分がその世界に居るような気持ちになる。この写真を買ってから、これがルナの習慣になっていた。
カバー越しに、惜しむように写真を撫でた。写真に切り取られた、海底の砂、暗い青色、そして所々に朧気に差す光。海底泳ぐ魚達は、その僅かな光を捉えて、姿を見せずにひっそりと暮らしている。それだけで、この写真はルナを惹き付けて離さなかった。心の何処かで、憧れていた世界。望んでいた世界。ーこの写真の、魚達になりたいー
続きは細々書きます
題材【海の底】より
1/21/2026, 8:14:03 AM