りくのいるか

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燃える葉

人知れず森の片隅で落ち葉を燃やす
メラメラパチパチ

燻った枝葉が弾ける音

私は密かに父の言葉を思い出した。

「風呂の焚き木にしてもらえ」

私の油絵の事を言っているのだ

私は19の時に

父の部屋のドアの隙間から、その言葉を漏れ聞いてしまい、固まった。

父はいつも私には笑顔で耳障りの良い言葉しか言わなかった。

母は私に父の悪意ある私に対する本音を横流ししながら、

最後は

「いるかには、俺が言ったって言うな!って言うのよ!」

と、ニヤリと笑いながら締めくくっていた。

父も油絵を描いており、私が美大に行くのがゆるせなかったのだ

理由は、自分が美大に行かれなかったので妬ましいからである。

実の父の悪意、それを告げる時の母の父と私、両方に向けた悪意…

私は心の奥の暗がりの森の片隅で父と母の悪意を枯葉に変えて燃やし続けている。

寒い森に熱い炎がメラメラメラメラ燃えている。その中でじっくり焼いた焼き芋を食べ

屁っちゃら!

と、笑っているのが私である。

10/6/2025, 1:47:38 PM