いつも誰かの意見に流され、または誰かの後をついて道を辿っていた。
たぶん、そうするほうが楽だったから。
あとはきっと、怖かったのだと思う。
どちらかの道を選ぶということは、どちらかの道を捨てるということだ。
それが私は怖かった。
選んだ道が正解じゃなかったら、正解だった道を捨てることになったら。
掴めなかったチャンスは、ただ過ぎ去っていくだけだ。二度と同じチャンスは巡ってこない。
そう思うと踏み出す足が震えた。
難なく道を選び取り成功している人を見ると羨ましい。そんな醜い心に嫌気がさすも、それでも必ず人生の岐路というものはやってきてしまうから。
臆病な私はそれでも。
もう誰かに委ねるのだけは、やめようと思う。
たとえ震えながらでも、その一歩を刻もう。
辿り着いた先に待っているものが何かなんて、考えたら途方に暮れそうだから。
今はただ震えるほどに重いこの一歩を、私は私以外のせいにしないで選び取る。いつかの日に振り返ったその足跡を、誇れるようになるために。
【岐路】
6/9/2023, 4:57:11 AM