小さな頃からずっと抱いていた。あのフリルがかわいい、あの瞳がきらきらしてきれい、あの髪型にあこがれる。そんな気持ちを紙の上に大きく描いたら、とてもとても楽しかった。
その溢れる気持ちを、今もまだ持てているだろうか。趣味を仕事にすると、それは段々と難しくなってくるということを眼前に突きつけられた。下手だダメだと言われて死ぬほど悔しく号泣したし、好きなものを嫌いになりたくなくて練習もした。そもそも知識が足りていなくて、新しいことや慣れないことがたくさんあった。それでも進まなければならなかった。止まることは諦めることと同意義だった。
そんなきれいごとばかり並べてもこの世界は実力が全てで、今もまだ上を見ては涙が出る。きれいな気持ちでいられないこともある。向いていないかもしれない、ならば諦めて別の道を探した方がいい、と思ったこともある。
でもまだこの筆を持っている。
決して美談などではない。叱咤を受けるかもしれない。ばかだなと鼻で笑われるかもしれない。けれどわたしは、せめてこんなわたしのことを、諦めが悪いと蹴飛ばすのではなくて、よく諦めなかったと、背を叩いてやりたいのだ。
2/5/2024, 4:51:10 PM