色鉛筆

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夕日が好きだ。
茜色の空からは、優しい蜜柑色の光が降っていて世界を優しく包み込んでいる。
それでいて、夕焼けというほど、焼けるような焦がれるような色に僕の意識は引っ張られていく。
茜色の空の圧倒的な美しさは、何度目の光景だって僕を掴んで離さない。
あの時の君の言葉が、再生される。まるでたった今僕に投げかけられたかのように鮮やかな君の声。その記憶は、幾年経ったって色褪せることは無いのだろう。
こんなにも鮮明なのに、逆光で君の顔が見えない。
...帰ろう、すぐに夜が追いかけてくる。またね、と僕は夕日を纏う記憶の君に別れを告げ、帰路に着く。

また、明日の夕日の中で。





昔に恋焦がれたあの人が忘れられない僕
ーお題「夕日」ー

4/7/2023, 10:58:52 PM